完成までのストーリー

家族がのびのびと過ごせる、
広さと暮らしの工夫を。

2024.02

「こんなお宝は、そうそうない」。
「デュオリスタ松戸常盤平」の前身となる物件を初めて見た時、私たちの胸は踊りました。以前は大手企業の社宅として使われていた、この建物。広々とした敷地に、全ての部屋が87㎡または91㎡という広さ。首都圏で新築マンションの専有面積が年々狭くなっている昨今では、なかなかお目にかかれない物件でした。
私たちはすぐに、その貴重な建物を買い取り、のびのびと過ごせる広さはそのままに、大規模修繕の実施や設備の更新など、安全で便利に暮らせる工夫を詰め込みリノベーション。大手企業の社宅だった物件は「広いって、しあわせ」をキーワードに「デュオリスタ松戸常盤平」として生まれ変わり、2022年3月より、お客様へと引き渡されました。
今回は、私たちにとって初めての大規模リノベーション物件「デュオリスタ松戸常盤平」のプロジェクトストーリーをご紹介します。

1960年代 団地街

今回の舞台となった松戸常盤平は、1960年代に大規模団地が次々と建設され、首都圏に向かうサラリーマンのベッドタウンとして栄えてきました。緑が豊かで、学校やスーパーマーケットといった施設も整った成熟した街でありながら、近年は子育て世帯が減少し、高齢化が進んでいました。駅前には新築マンションが立ち並び、厳しい価格競争が繰り広げられている状況でもありました。
そんな時に出会ったのが、以前は大手企業の役員社宅として使われていた、本物件です。専有面積が87.98㎡と91.43㎡の2タイプのみで、18年前の建設当時においても周辺にはなかった「広さ」が圧倒的な価値でした。最近は郊外においても手ごろな価格で広い家が手に入るとは限らないのが実情なため、「この広さを生かした、リノベーションマンションに挑戦してみたい」。心からそう思い、購入を決めたのです。

新・日本街路樹百景に選ばれている「常盤平けやき通り」

開けてみないとわからない

早速、社内でチームが組まれます。ここまで大規模な一棟丸ごとリノベーションは初めてで、皆やる気は十分。様々な事情から、モデルルームオープンまで3ヶ月しかないというタイミングでのスタートでしたが、「このチームなら、この物件なら良いものが作れそう」と、意気揚々とプロジェクトは始まりました。
そんなやる気も、開始後すぐに砕かれることに。いざリノベーションの現場が始まってみると、図面通りになっていない箇所が次から次へと出てきました。新築であれば、「住宅は図面の通りつくるもの」ですが、リノベーションはそうではないことを思い知ります。こうして第三者機関のチェックを1つひとつ重ね、図面を直し、リノベーションのプランを作っていきました。計画当初、新築と同程度に考えていたコストはどんどんと膨れ上がり、新築マンションとの違いには、本当に苦戦しました。
最終的に、広さを生かしながら手頃な販売価格とするために、専有部は水回りの位置変更などは行わないといった建築費を下げる工夫を。また、管理費を抑えるために、エレベーターや機械式駐車場は減築することにし、コストと広さのバランスをとっていきました。

リノベーション前の外観
リノベーション前の専有部

広いって、しあわせ 松戸87/91

商品開発やコンセプトは当然ながら、販売広告においても子育て世帯に魅力的に映るように、専有面積が87.98㎡と91.43㎡の2タイプだけであることを軸に、広さを全面に打ち出した「広いって、しあわせ 松戸87/91(ハチナナキュウイチ)」というキャッチコピーを作成しました。手の届きやすい価格であることはもちろん、元社宅の1棟まるごとリノベーションだから実現できた「広さ」を強調することによって、家が小さくなっていくという社会現象の中でも、広い空間に住めるということを訴求し、実現したのです。
広さを全面にだした広告コピーは、これまでやったことがなかった挑戦でしたが、購入を決めてくれたお客様のインタビューなどを通じて「広さ」に触れていただくたびに、物件の価値を見極め、このコピーで勝負して本当によかったと思います。

販売中に使用したチラシのデザイン

広さを活かし、+αのライフスタイル提案を

手頃な販売価格を実現しつつ、一棟まるごとリノベーションという特徴を生かすために工夫したのが住戸のプランです。専有部は、価格を上げない工夫として、水回り位置などは大掛かりな変更は行わずに、ベーシックプランを作りました。それに加え、専有部が広いからこそ実現できる「ビックランドリープラン」「土間プラン」「キッズワークスペースプラン」の3プランを作成し、+αのライフスタイル提案をしました。
ビックランドリープランは社内の暮らし研究所である「欲しかった暮らしラボ」で、再度水回りのあり方を調査・研究することで、ゆったり充実したランドリースペースが暮らしにおいて必要であると分かったので、その結果を反映してプランニングしたものです。

光と風が抜けるユーティリティスペース
洗濯室のラウンドリーカウンター
土間に飾ったものが眺められる洋室
玄関とつながる土間空間

また1階住戸のベランダ先には、社宅時代の名残で子どもの遊び場が設けられていましたが、専用庭に刷新。暮らしにゆとりを生んでいます。いずれの工夫も家族が暮らしやすく、リノベーションならではの機能やテイストが生かされていることをゴールに作り込みを進めていきました。

リノベーション前の子どもの遊び場
1階住戸の専有庭として生まれ変わった

こうして2022年3月に、無事デュオリスタ松戸常盤平の入居が開始しました。モデルルームオープンまで3ヶ月という時間の中で、お客様に物件を見ていただけるよう作り上げたのと同時に、物件の工事を進めていくというのは至難の業でしたが、おかげさまで多くの物件検討者様に体験いただくことができ、竣工前に完売しました。
お引き渡し後には、私たちが今回のリノベーションで作ったサークルベンチやキッズガーデンを使っての入居者懇親会「ご近所Sunday」を開催して、緩やかな交流を育むお手伝いもさせていただきました。元々ファミリー世帯が多い物件ということもあり、すでに子育て世帯でのコミュニティやペットを通じたコミュニティが、ゆっくりと出来てきていると伺っています。
今回のプロジェクトを通じて、新築では通用することが既存の住宅のリノベーションでは通用しないということを改めて知る機会となりました。今後住宅市場において、ストック住宅が増えていく中で、今回のようにポテンシャルが高い物件を扱う機会は増えてくると思います。私たちとしては、その第一歩を踏み出せた、非常に思い出深い物件になりました。

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