完成までのストーリー

コンパクトな都心暮らしでも
ひととつながる温かな毎日を。

2024.02

私たちフージャースは、2013年からシニア向け分譲マンションDUO SCENE(デュオセーヌ)の分譲を開始しました。今回の「デュオセーヌ江古田の森公園」は、コロナ禍の2022年8月に竣工、9月に引き渡しを開始。デュオセーヌシリーズでは10棟目になります。
「高齢になったら、都心の便利な場所で暮らしたい」というニーズ。一方で、都心の場合、面積に限りがあるので、これを「引っ越しを機に不要な物は整理し、シンプルに暮らしたい」という機会として捉えて、デュオセーヌシリーズでは初めて、東京23区での開発となりました。
今回は、「デュオセーヌ江古田の森公園」のプロジェクトストーリーをご紹介します。

東京23区で挑戦する

私たちフージャースが提供するデュオセーヌシリーズは、首都圏では国立や豊田、船橋、戸塚といった比較的郊外の立地で約150〜200戸と大規模に分譲を行ってきました。しかし、今回は東京都練馬区。23区内で、しかも限られた敷地面積。デュオセーヌシリーズでは最も小さい84戸の分譲マンションでした。
シニア向け高齢者住宅は、完成形や運営を見ていただいて入居を決めていただくものですが、デュオセーヌシリーズは分譲マンションですから、完成する前に購入を決めていただく必要があります。シリーズを展開する中で、「高齢になったら、都心の便利な場所で暮らしたい」、「引っ越しを機に不要な物は整理し、シンプルに暮らしたい」というお声をいただくことが度々あり、この挑戦に意義を感じていたものの、不安な気持ちがなかったといえば、それは嘘かもしれません。「これまでの作り方が通用するのか?」、そんな不安と共に始まったプロジェクトでした。

限られた面積で、どんな暮らしを描くのか

今までのデュオセーヌシリーズでは、大浴場や多目的室、スタジオ、ビリヤードと多様な共用部が設けられるのが定石です。しかし、今回は敷地面積が限られており、共用部を大きく取ってしまうと分譲価格を圧迫するため、共用部に盛り込む内容を厳選する必要がありました。しかし、それがなかなか難しい。

そこで私たちは、暮らすことで「出会いを紡ぐ」「健やかになる」ことをキーワードに、改めてデュオセーヌで起きた日常のシーンやこうだったらいいを集め、そのシーンがどういう配置だったら、設備だったら生まれるのかを考えていきました。
またそのシーンを限られた空間で実現するために注目したのが、都内にある人気のライフスタイルホテルでした。ホテルの視察を通じて、通路を通路として確保せずに1つの大きな空間と仕立て、シーンに合わせてゾーニングすることで、そこで起きていることを入居者の方が見たり触れたりし、交流のきっかけを作れることに気づきました。
こうして、緩やかに家具で仕切られた共用部には、ゆったりと趣味の読書や手芸を楽しむためのゾーンや、音楽会や体操などのイベントをして集まって楽しむためのゾーンが完成しました。趣味のゾーンには、ゾーニングに合わせた選書がしてあり、本を通して会話が生まれることも考えました。もちろん本を借りて、お部屋で楽しんでいただくことも可能です。共用部に降りてきたら「面白そう」と思うシーンに、自然と触れられるようにしたのです。

さまざまな空間がシームレスにつながる共用部

また、このゾーニングとは別に、少し広めの娯楽室を用意して、カラオケや楽器演奏、映画鑑賞などを思う存分楽しめるようにもしています。さらに、立地の良さを生かして、目の前に広がる江古田の森公園を通して自然を感じられるよう、最上階の一部は屋上テラスにしました。
そういった日常のシーンをイメージしながら、共用部に何をつくっていくのか取捨選択をしていきました。その中でも、これまでは必ずあった大浴場は、高齢になったら1人で入れなくなるリスクから、今回の物件ではあえて作らないことを決めました。これを1つ決めるのも、非常に勇気がいる決断でした。

江古田の森公園を望む屋上テラス

地域とのつながり方

もう1つ苦戦したのが、マンションを地域に開くことです。これまでのデュオセーヌシリーズでは菜園やレストランといった共用部を地域に開放することで、地域との交流が生まれ、入居者の暮らしの楽しみになっていました。しかし、今回の物件は、道路から建物が見えず暮らしの様子もわかりません。
そんなとき、練馬区は東京23区の中で農家の数が最も多く、23区にある農地のうち約4割が練馬区にあることを知ります。大根やキャベツ、イチゴにブルーベリーと多種多様な野菜が育てられ、頻繁にマルシェや直売会を開催。住民と農家さんの距離が非常に近い環境でした。そこで3ヶ月に1度、地域の農家さんを呼んでマルシェをすることを思いつきます。
農家さんとの交渉は初めてのことでしたが、1軒1軒と会話を重ね、ようやく出店を決めてもらうことができました。また、3ヶ月に1度というお付き合いではなく、継続的に農家さんと繋がりを作るために、マンション内のレストランにも野菜を毎日卸してもらうことにしました。

共用部のガーデンで開催された「ねりマルシェ」

緩やかなつながりが生まれる

こうして2022年8月にデュオセーヌ江古田の森公園は、無事に竣工しました。私たちの心配はよそに売れ行きは、好調。「都内にアクティブシニアが住む物件がなかったから、こういう物件が欲しかった」と、みなさま契約を決めてくださいました。

マンション外観写真

私たちがこれまで磨いてきたデュオセーヌシリーズを都内でコンパクトに作るという挑戦は、想像以上に取捨選択の連続で「これでいいのだろうか」、と計画中は常に悩んでいたように思います。今まで築いたものがあるからこそ出来た部分もあれば、全くの新しい発想で作った部分もあります。
特に共用部は、その足したり引いたりの繰り返しでした。しかし、今回共用部で実施した家具で空間を仕切るというチャレンジは、人が緩やかにつながるきっかけになっているようで、既に入居者がつながって、麻雀サークルを新たに立ち上げるまでになっているそうです。また共用ライブラリーでの本のシェアについては、「入居者所有の本についても、共用ライブラリーで貸し出すことを検討したい」と言った声が入居者から上がっており、自発的な活動の芽が見えてきています。
共用部でのマルシェも大好評で、マンション内外の方が多数来場くださり、すぐに完売。「次回が楽しみ」というお声を直接いただき、私たちも現場のスタッフも次に向けて着々と準備を進めています。この他にも、地域にある武蔵野音楽大学の生徒さんやボランティアの方によるピアノの演奏会など、地域との繋がりはゆっくりとでも着実に出来ています。
デュオセーヌ江古田の森公園は、皆様のお住まいとしての充実はもちろんのこと、今後は地域の拠点としても成長していくことが期待されています。その様子を、私たちも見守っていきたいと思います。

recommendation
おすすめ記事