フージャースを設立したのは1994年のことです。その9年9ヵ月後の2004年に東京証券取引所第一部に上場し、現在では売上高が約350億円に達しています。このように紹介すると順風満帆に成長してきた企業のように思われがちですが、わずか十数年に満たない歴史を振り返ってみても、私たちの歩みはけっして平坦なものではありませんでした。

1994年にフージャースを立ち上げたとき、社員は誰もいなくて、私ひとりきりのスタートでした。信頼と実績を築きながら事業を拡大し、1999年に不動産分譲事業に着手。「郊外型大規模・高品質マンション」というフージャース独自のマーケットを切り拓いて、成長を加速させました。しかし、2008年に勃発したリーマンショックは日本経済を震撼させ、私たちフージャースも存続の危機に直面しました。2011年に起こった東日本大震災では、不動産の存在価値を改めて深く考え、私にとって大きな転機となりました。

このような歩みの中で、私たちはおぼろげだった想いを少しずつ形にしてきました。それは、「本質を極め、新しい価値を提供しよう」というミッションです。お客さまの視点に立って、本質を極めようと必死に考え抜く。そうして創り出した価値を社会に提供していく。そんな想いにこだわってきたからこそ、危機を乗り越え、現在のフージャースがあるのだと思っています。

変動の時代を経て、フージャースは今、再成長期の最中にあります。首都圏でスタートした事業も次第に広がり、2012年の東北支社を皮切りに、年ごとにネットワークを拡大。首都圏で蓄積してきた知見と経験を、全国の主要都市へと水平展開する戦略を推し進めています。

いくつもの経験を経て豊富な人材が育つとともに、私たちの事業も水平的な広がりばかりでなく、深みも増してきました。現在、新築マンション分譲をはじめとする「不動産開発」を中核に、「戸建・アパート」「不動産投資」「不動産関連」「シニア」という5つの事業を展開しています。こうした不動産というフィールドを深耕していく戦略を今後もさらに力を入れて進めていきます。

フージャースのこれからの戦略を語るとき、「世界」もまた欠かせないキーワードでしょう。海外戦略については現在、2つの軸から進めています。1つは東南アジアでの不動産投資事業。各国で実績とビジネスネットワークを築きながら、今後はマンション分譲事業などの可能性も探ってきます。もう1つの軸は、アメリカ西海岸のポートランド。“米国一住みたい街”といわれるこの都市でも事業に着手しています。ポートランドで得た知見を日本に環流させ、日本で熟成したノウハウを東南アジアのマーケットに投入していくというグローバルなビジネスモデルの構築を思い描いています。

現在、日本が直面する課題のひとつに「少子高齢化」があげられます。2015年に設立したフージャースケアデザインが取り組むシニア事業は、「高齢化」という課題に正面から向き合うものです。お客様の目線に立ってマーケットを見据え、「分譲」「高品質」という新築マンション事業で培ったフージャースのノウハウを融合することで、これまでの高齢者向け住宅になかった新しい価値を提供しています。

もうひとつの課題である「少子化」についても、これから展開する事業の中で解決に貢献できる答を見つけていきたいと考えています。そのヒントのひとつになるのが、不動産関連事業として進めている「コミュニティづくり」です。

2016年には、北海道の「宮の森スポーツ」を買収し、スポーツクラブ事業にも着手しました。これまでの不動産ビジネスに「ヘルスケア」という今後の成長領域を融合させた事業です。このスポーツクラブでは、「シニア」と「子ども」が利用者の大半を占めています。そこで得る蓄積を生かし、他の事業とも複合させて、フージャースならではの新しい価値を生み出していきます。

独自の価値を追い求めるフージャースを進化させていくエネルギーは、「人」の力に他なりません。街づくりを通じて、社会に、人の暮らしに新しい価値をもたらそうという不動産デベロッパーの仕事はけっして容易ではありません。それを自分たちの力で成し遂げていくためには、強靱な意志が必要です。想いの深さといってもよいでしょう。

フージャースが求める人材像を考えるとき、私が真っ先に思い浮かべるのも、この「想い」という言葉です。エネルギーと感受性にあふれ、ブレることのない強い想いを抱いている人。そんな人材を一人でも多く育てていくことが、私にとっての一番の仕事だと考えています。

想いの強い人材を育てていくとともに、その想いに応える「場」をつくり出していくことも大切です。それを考えるなら、フージャースには恵まれたフィールドがあります。自由闊達な風土があって、企業としてのしっかりした基盤もある。それでいて、伝統的な総合デベロッパーのような重厚な組織でもない。事実、フージャースの新規事業を担うグループ会社の経営者は、このような環境の中で自らの想いを実現してきた社員たちです。

ただひとつ勘違いしてほしくないのは、私たちは、ベンチャー気質に富んだだけの人材を欲しているわけではないのです。まず始めに想いありき。その想いを共有しながら、ともに挑戦していく若い力を求めているのです。

マンション専業デベロッパーとして歩んできたフージャースは今、より広いフィールドへと踏み出しました。しかし、私たちは既存の総合デベロッパーの後を追うつもりはありません。専業でも総合でもない、フージャースでしか成し得ないような会社をつくっていきたい。若くハツラツとしたエネルギーを結集し、その想いをひとつにして、フージャースはこれからも歩み続けていきます。

PROFILE

株式会社フージャースホールディングス
代表取締役社長

廣岡 哲也TETSUYA HIROOKA

  • 1987年

    慶應義塾大学法学部法律学科卒。
    株式会社リクルートコスモス入社。
  • 1994年
    株式会社フージャースコーポレーション設立。

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